2014-10-27 06:27:11
ブルーナといた夏 その10
ブルーナがわたしを凝視している。
わたしもブルーナを見守っている。それしか、できないから。

荒い息遣い、犬もラマーズ法呼吸っていいのかな、出産経験の
ないわたしは、ブルーナになんの手助けもできない。

「どうしたの?」夫が、気配に気付いて起きて来た。
「産まれそうなの」
「そうか。ブルーナがんばれ」妊婦を刺激しない位置のソファで
成り行きを見る。
キャィィィーン
3:55 第一子誕生
「うまれたうまれた、これ赤ちゃんだよね」
薄い膜につつまれた、大き目のおはぎのような物体は ブルーナから
血と塊ともに排泄された。
母となったブルーナは その物体をなめるなめる。
包んでいた膜がとれかかると、その間から うす茶色のの毛が見えてきた。
「赤ちゃん赤ちゃん、動いてる動いてる」
物体xを包んでいた膜を 身体をよこたえたままブルーナが懸命に
なめ取ってている。
へその緒も 取り急ぎ、と噛み切って、
膜をとりはらわれた「それは」大きいねずみのよう。
小さいピンクの手足。
それが、ミュウミュウといいながら ブルーナのおっぱいの
ところへと這っていく。
命の誕生、すごい、えらいブルーナ。

        つづく..... 
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2014-10-27 06:03:49
ブルーナといた夏 その9
避暑地の夏は、一年で一番の稼ぎ時。このときのために
中国料理のお店は4月下旬のゴールデンウィークから
わたしを 確保している。
学生の時から アルバイトは外食産業、自分で店を持つと
決めたときも 飲食にしようか物販にしようか迷った末、
夫と、ゴールデンタイムを過ごせる物販を選んだ。
半年東京、半年 北軽井沢の二拠点生活で、和食器店を
神楽坂で営んでいた時は できなかったことをしようと
思っていたので、飲食店のお手伝いのお話は、自分の適性
でもあるし、判り難い場所にあるわたしたちの店「ウスザワ
ユージアム」の 紹介もできるので、渡りに舟。
でも、このお盆のシーズンが忙しい、否、忙しいのはこのときだけ、
に 飼い犬が出産しそうなので休ませて欲しい、は言い出しにくい。

避暑地のTOPシーズンの後半、8月19日火曜日、今日「清徳」は
定休日、その日の早朝というか深夜2時ころ、寝室とふすまを隔てた
リビングルームで そわそわと歩き回るブルーナの爪の音で
目が覚めた。
わたしが、ふすまをあけて そばによると、ブルーナはキュンと
鼻をならした。その後もしばらく、うろうろと部屋の中を往復して、
ときどき助けを求めるようにわたしを見る。
一時間ばかり、歩き、意を決したように、お産箱の中に
入り、いつものベッドにバスタオルを何枚も敷いた上
くるくると二周回った後 場所を決めて 横になった。
リビングには 壁の明かりだけが 燈っていた。

            つづく...
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2014-10-26 19:12:30
ブルーナといた夏 その8
mail「妊娠確定」
まずは、お産箱をどのようにつくるかH尾さんから
図解つきのmail。
パピーの餌の手配もしてもらって、あとはその日を
まつばかり。
8月20日から数日東京に戻らなければならない夫は、
「ごめんね。ごめんね。」を連発。
「こんな、大事にときにいられなくてごめんね。」
あまり、そればかり言うので、
「わたしが出産するわけでも、ブルーナがあなたの子供を
産むわけでもないから、大丈夫だから。」本当は居て欲しいけど。

お手伝いの中国料理の店の営業時間でなければいいけれど
「おれひとりの時だったら、どうしよう」
「出産は汐の満ち干き。月の満ち欠け。朝か晩で、
昼間ってことはあまりないし、たとえそうでも、昔っから
犬は自分で生んでるし、わたしがいたって別にやれることは
ないから。」と、いいおいて、店に出かけるけれど、
わたしだって心配。
わたしの居るときにしてね、ブルーナ。
待っててよ。

       つづく....
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2014-10-26 19:02:54
ブルーナといた夏 その7
まだまだ、順番は 回って来そうにない。
待合室には 犬猫 診察室には「ハクビシン」?

「どうされたのですか?」同じく診察を待つもの
同士の一体感から。「子宮が飛び出しちゃって」
「片目を義眼にするんです」などいろいろ。
「この子は 保護犬で里親さん探しで、こっ,この
貼ってあるチラシの子なんですけど。妊娠してい
るかもっていわれて、とりあえず見てもらいに来たんです。」
「ああ、そう、ぼくのこの子も保護犬で
今 歯の治療に三万円かかるから もう一匹は
無理だな。でも、おりこうそうないいこだね」
「このこも保護犬」ロングヘヤーダックスフントを連れた
若いお婆ちゃまと孫嬢。
その間にも 泡を吹いた瀕死のブルドッグが担ぎ込まれる。
呼ばれるまでには、まだまだ かかりそう。

白衣の女医先生が、「今日は、どうしたの?」
忙しい中、待合室の様子を見にきて、「妊娠しているかも
、妊娠検査して もしそうなら何匹産まれるか、
いつくらいか、調べに来たんですけど」
「妊娠にきまっているし、調べるまでもない。
何匹おなかに入っているかどうかでなくて、何匹元気に
生まれるかで、検査してもしかたない。このおなかなら
今日生まれてもおかしくないよ。」キッパリ。
「それなら、ここで産ませてほしいんですけど。...」
「ここは、そんなことしないし、骨盤の小さい犬なら
ともかく、mixは 強くて自分で産めるから大丈夫。
何匹か生まれた後の 里親探しが大変、頑張って!」
「あの、診察代は?あの」
「何にもしてないから、いらないいらない」と、
白衣を翻して 診察室にもどっていかれた。

「よかったね」「ママになるんだね」待合室の人たちに
見送られ「はい、ありがとうございます。がんばります」
といいながら、半年リースしている軽に乗り込み、二人で
大きく息を吐く。
「うちで、産むんだ」

              つづく...
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2014-10-26 06:38:42
ブルーナといた夏 その6.
ブルーナが、「この人」と望んだⅠ澤さんに
妊娠しているかもしれないこと、を連絡しなくちゃ。
名刺交換したはずの 夫は、その名刺を紛失。
Ⅰ澤夫人と私たちとは共通の知人がいる。その
御縁でウスザワユージアムにお越しいただくことに
なったのだが、まずは、神楽坂で 作品展を
何度もしてくださった帽子作家のハラダノリさん→
スタイリストの仲さん→Ⅰ澤さん。

「ごめんなさい。いただいた名刺なくしちゃって。
整理整頓ができなくて。それより、ブルーナが
妊娠しているかもしれなくて。お盆休み明けに
病院いってきますから。」
「わたしも、そうかもって思っていました。でも
うす沢さんたちが何もおっしゃらないから、申し上げるのは
控えていましたが、やっぱりそうなのね。」
わからなかったのは、わたしたちだけ?

仮親失格

「どちらにしても、ご報告しますから」

「本当に妊娠してたら、どうするの?」
「どうするって、こうなったら 産んでもらうしかない
じゃない。まずは、病院にいって妊娠検査して すぐ
産みそうならそのまま病院にお預けしてそこで出産して
そのあとのことは、そのあと。」
「費用は 京都のF井さんが 出してくれるっていうし、
わたしたちに出来ることはないんだから」
すでに、心配症の夫は、こまった顔をしている。

お盆休み明けの動物病院は とても混んでいた。
診療開始時間よりかなり早めにいったつもりでも、
すでに10数番目。
一年で一番petが集まる時期だからしかたないかも。
病院の待合室の椅子で 心細く待つ私たち。
そのあしもとに 伏せているブルーナ。
「大丈夫だからね。怖くないからね。」
ブルーナをなでながら、自分たちに言った。

              つづく.....
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